続・賭けコーヒー
以前このブログで書いた、とあるカフェチェーンの店員さんとの話。
もちろんあれ以降も、Aさんの賭けコーヒーは続いている。
しかし最近は暖かくなってきたということもあり、お互いの意思は「アイスコーヒー」で合致し、もはや賭ける側としては面白くないであろう季節を迎えてしまった。
そして、相変わらずお互いに話すことはないが、何も言わずにテイクアウト用のカップを用意してくれるという関係性が続いている。
そんな中、先日いつものように注文をしようとしたところ「すみません、今日コーヒーマシーンが壊れていてコーヒーが提供できないんです・・・」と店員さんが申し訳なさそうに、伝えてきた。
隣にいたAさんも、申し訳ないと謝罪をしている。
久しぶりにアイスティーでも飲むか・・・と思ったが、やっぱりコーヒーが飲みたかったので「すみません、では大丈夫です」と断りを入れ、その日は何も注文せずに店を後にした。
数日後、いつものように店に入ると、Aさんがいた。
もちろん何も言わずともテイクアウト用のカップにアイスコーヒーを準備してくれている。
もはや、ツーカーの仲である。
するとAさんは、コーヒーを抽出している間、初めて僕に話しかけてきた。
Aさん「この前はコーヒーお出しできなくて、申し訳ありませんでした」
僕「いえいえ、全然大丈夫ですよ!」
(あの時僕が店に行ったこと覚えてくれてたのか)
A「今日、割引させてもらいますね」
そう言うとAさんはレジを叩き、割引した金額を提示してくれた。
そして、コーヒーの提供と共にこう言った。
「いつもご利用ありがとうございます」
なんだか、とても嬉しかった。
僕は「こちらこそ、いつもありがとうございます」と言い、テイクアウト用のカップに入ったアイスコーヒーを受け取った。
今までAさんのことを、ただの「賭けコーヒーしてくる人」だと思っていたが、シンプルに良い店員だった。
Aさん、ありがとう。
僕はもうあなたについて行きます。
今後僕はあなたが賭けたもの、準備しているものを注文します。
真夏にホットコーヒーでも良い。アイスティーでも、ココアでも、なんでも良いので、好きなものを準備していてください。
僕は、それを飲みます。
Aさんが賭けていたのは、コーヒーではない。
店員として、仕事に命を賭けていたのだ。
Aさんにプロフェッショナル 仕事の流儀の密着が来る日もそう遠くはない。